222(コラム)

学校の進路指導、「あれ? 何か違うな……」と思ったときは

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大学進学実績は高校のセールスポイント

大学入試が近づいてくると、高校では進路指導が行われるようになりますが、少子化にともない、どの高校も生き残りのため進学実績を上げる努力をしています。

 

特に、大学合格実績が求められる進学校では、生徒ひとりひとりができるだけ高いランクの大学に合格できるよう熱心な進路指導が行われます。併設大学への進学が大半を占める附属校は別として、進学校の場合、東大をはじめとする難関国公立大、あるいは早稲田・慶応といった有名私立大へ何人合格できたかという合格実績が、生徒募集におけるセールスポイントになるからです。

 

難関大至上主義の進路指導

そういうわけで、ともすれば進学校の進路指導は難関大至上主義になりがちです。具体的には、模試や定期テストに向けてしっかり勉強させるのはもちろん、早い時期から難関大を意識させて「あこがれの大学を目指す」というムードをつくります。また、なかなか模試の成績が伸びなくても、少しでも可能性があれば大学入試直前まで志望校のランクを下げないように指導します。

 

これは、「自分のレベルで行ける大学に行けばいいや」と考えて努力しなくなる生徒を少しでも減らし、最後まで諦めずに上を目指す姿勢を植え付けること、そしてその結果として進学実績を少しでも向上させることが狙いです。中には、まるで民間企業のように進学実績を追求し、「とにかく上のランクの大学を目指そう」と指導する学校もみられます。

 

もちろん、就職のことを考えて少しでも上のランクの大学に行くことを優先する人や、経済的な面を考えて国公立大に進学したいと考える人にとっては、学校側のこうした姿勢が支えになります。上のランクの大学に行きたい生徒にとって、熱心な進路指導を行ってくれる学校は「いい学校」です。

 

まずは、将来のビジョンについて考えよう

しかし、必ずしも全ての生徒が「できるだけ高いレベルの大学を目指そう」と考えて高校に通っているわけではありません。部活や習い事、ボランティア、アルバイト、恋愛など、やりたいことがたくさんあるという生徒もたくさんいるのではないでしょうか。また、「難関大に行って何を学べばいいの?」と悩む生徒もいることでしょう。

 

このような悩みを持つ生徒は、難関大への進学を考える前に、まず将来のことを考えるところからスタートしたほうがよいと思われます。大学で学びたいこと、将来就きたい仕事、あるいは5年後、10年後に目指したい自分の姿…… 自分の進路は自分だけのものです。自分の将来のビジョンが見えてきて初めて、何のために進学するのかがはっきりし、「目標に向かって勉強する」という意識が芽生えてくるものです。できるだけ早く、自分の進路について真剣に考えてみてください。

 

難関大に行くことだけが全てではない!

逆に、将来やりたいことが決まっていて、そのための最適な進路は難関大ではないという場合もあります。特に、国家資格を目指す学部ではその傾向が強くなります。

 

例えば、薬剤師になるには大学の薬学部で学ぶ必要がありますが、薬学部は偏差値が上がるほど「薬剤師を目指さない人向けの学部」になる傾向があります。これは、薬学部には薬剤師を目指す6年制のコースと製薬業界などの研究職を目指す4年制(その後大学院へ進学)のコースがあり、難関大ほど4年制コースに比重が置かれるからです。

 

そのため、薬剤師を目指すのなら、大学の偏差値の高低で考えるよりも、薬剤師国家試験の合格実績や、合格へ向けた大学の支援体制などを基準に考えるほうが重要です。つまり、重要なのは「自分の希望進路への近道になるか」です。

 

自分の思いを説明できるようにすることが重要

薬剤師以外にも、医療・福祉系などで似たようなケースはたくさんみられます。なりたい職業が決まっている人は、自分で情報を集め、進路指導の先生に自分の希望進路や将来のビジョンを順序立てて説明できるようにしておくことが重要です。きちんと自分の思いを説明できれば、進路指導でとやかく言われることもなくなるでしょう。

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