222(コラム)

試験前にやっておきたいパフォーマンス向上術

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試験前になると誰でも不安になってしまうものです。見直しは本当に完璧なのか?確実に覚えたけど本番でど忘れしたらどうしよう?などなど、マイナスなことばかりを考えてしまうと、勉強が手に着かず食事すらまともに食べられない人も少なくないはずです。  このように不安要素をあまりにも抱え込んでしまうと、良質な睡眠もとることができないので、すべてが逆効果となってしまいます。また、もともと不安を感じやすい性質で緊張することが多い人もいるはず。いずれにしても、不安要素をなかなか拭えない人は、試験直前にその不安要素を紙に書き出すことが有効で、不安の解消だけでなく、成績が向上することがわかっています。 シカゴ大学の心理学者であるSian L. Beilock准教授らが行った実験によると、試験に関する不安を試験直前の10分間に紙に書き出すことにより、成績が向上することが明らかになりました。この論文は有名な「Science」誌にも掲載され、話題になっています。  Beilock教授はこの実験結果を次のようにコメントしています。  「試験で問題を解く際に使える「ワーキングメモリ(短期記憶)」は限定されており、試験に関する不安を感じると、そのワーキングメモリが心配事だけで容量を超えてしまう。だからこそ、試験前にあらかじめ不安を書き出すことが非常に重要なポイント。これによって、問題を解くことに使えるワーキングメモリを増設するかのような役割がある。」  とは言え、これだけではなかなか信じられませんよね。そこで今回行われた実験内容をご紹介してきます。  Beilock教授らはまず、大学生の被験者20名に2セットの数学のテストを受けさせました。1回目のテストでは単純に「ベストを尽くすように」と指示し、2回目のテストの前には「成績優秀者には賞金が出る」「成績が悪ければ連帯責任としてチームのほかのメンバーに迷惑をかける」「試験の様子はビデオ撮影され、数学の教官に見られる」といった「プレッシャー」をかけたのです。  そして重要なポイントになるのがここからです。2回目のテスト前に、半数の学生は10分間「試験に関する不安」を書きつづってもらい、対照群は10分間静かに座ってもらったそうです。その結果、試験直前に静かに座っていたグループでは、2回目の「プレッシャーのかかった」テストは1回目のテストと比べ正答率が12%下がったのに対し、験前に不安を書き出したグループでは2回目のテストの方が1回目のテストより5%正答率が向上したのです。  さらに、別の実験では「紙に何かを書く行為」に緊張を和らげる効果があるのではなく、特に「試験に対する不安について書くこと」の効果が明らかになったようです。この実験は、高校生にも実施され、それぞれが満足いくような効果が得られたといいます。Beilock教授がまとめたコメントが次のとおりです。  「試験における不安を感じやすい人は少なくない。いわゆる「本番で実力が出せない」タイプの人は、自分から不安要素を書き出すことが重要だ。そのとき、教師や試験監督からの指示を優先させてはいけない。あくまで大切なことは自分からの行動だ。試験前に自分で時間を確保して、ノートなどに不安な気持ちを書き出すことが、試験におけるパフォーマンスを向上させる、最大の鍵になる。」  なお、今回の実験のように不安を書き出す行為は、さまざまなシーンでも活用することができるようです。たとえば、仕事におけるプレゼンテーションや、大衆前でのスピーチ、就職のための面接などでも有効に働くことがわかっています。  プレッシャーを感じてしまうシーンに向けて、不安要素を書き出す行為を行えば、本来の実力を発揮できるかもしれません。

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