222(コラム)

「ピアジェの発達段階」とは? 子どもの認知機能発達のプロセスを知ろう

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子どもの心理が理解できない

育児中の親にとって、子どもの言動は驚きの連続です。嬉しさやほほえましさのある驚きなら歓迎できますが、多くの場合は「困惑」ではないでしょうか?

 

子どもは、時に大人の想定の範疇を超えた反応をすることがあります。我が子のことを理解しているつもりでも、その心理がわからなくなることも少なくありません。

 

このような親と子のギャップは、なぜ生まれるのでしょうか?

そして、子どもの心理を深く理解し、適切にサポートするにはどうすれば良いのでしょうか?

「ピアジェの発達段階」は、そのような育児中の悩みを解決する知見を与えてくれる理論です。

 

「ピアジェの発達段階」とは?

ピアジェの発達段階は、特に幼児の認知発達理論で多大な功績を残したスイス出身の著名な心理学者、ジャン・ピアジェによって提唱された理論です。

フロイトの「リビドー発達段階理論」や、エリクソンの「心理社会的発達理論」と並んで、3大発達段階説のひとつとされています。

 

ピアジェが登場する以前は、乳幼児は無能で受動的な存在であり、大人が答えを教え導く必要があると考えられていました。

しかしピアジェは、多くの子ども達と接して観察を続けた結果、「子どもは科学者のように実験と観察を繰り返し、自らの力で知識を獲得していく存在」という新しい認識を示したのです。

 

そして、人間の認知機能は段階的に発達するとして、0歳から青年期までの認知発達を4つの段階に分類した「認知発達段階説」を提唱しました。

 

 

「シェマ」とは?

ピアジェは、子どもの認知機能の発達は「シェマ」の質的変化が4つの段階を経て進むと考えました。シェマとは、世界を認識するための枠組みのことです。

 

シェマの概念を理解するのは難しいのですが、幼児が犬と猫を見分けられるようになるまでを考えると理解しやすいでしょう。

 

幼児に犬のぬいぐるみを与え「これが犬よ」と教えた場合、幼児は「犬」を認知するシェマを獲得します。

次に猫のぬいぐるみを与えると、幼児は先ほど獲得したシェマから「これも犬だ」と考えますが、「犬ではなくて猫というの」と教われば、「猫」を認知する新しいシェマを獲得し、犬と猫が違う生物だと学びます。

このような経験を繰り返すことで、ものごとを正しく区別できるようになっていくのです。

 

つまり、認知機能の発達は「すでに知っていること」と「新たに学んだこと」を比較し、バランスを取ることで進んでいきます。

 

 

発達段階その1「感覚運動期」

それではピアジェの4つの発達段階について見ていきましょう。

0歳から2歳の時期は「感覚運動期」といいます。この時期の子どもは言葉を使えません。なめる・吸う・触る・たたくなどの手段を使って、どんどん新しいシェマを獲得し、物事を理解しようとします。

 

「循環反応」(同じ行為を何度も繰り返す)や、「模倣行動」(相手の動きや声を真似る)などの行動が特徴的です。

 

 

発達段階その2「前操作期」

2歳から7歳の時期は「前操作期」に当たり、言葉を使った思考ができるようになります。「操作」は情報を処理することを指しますが、まだ処理が完全ではないため「前操作」といわれます。

 

前操作期の特徴は「自己中心性」です。ただし、わがままという意味ではなく、世界を自分の視点からしか見ることができず、相手の立場で考えられない状態を指します。

例としては、自分が楽しいことは相手にとっても楽しく、自分が好きなものは相手も好きだと考えている状態です。

 

また、空想と現実の境界線があいまいで、想像力豊かなのも特徴です。

 

 

発達段階その3「具体的操作期」

7歳から11歳の時期は「具体的操作期」といい、具体的な物事に関して論理的思考ができるようになっていきます。

コップの水を他の食器に移しても水そのものの重量や体積は変わらないという「保存性」の概念や、見た目に惑わされず筋道を立てて考える能力を獲得しているのが特徴です。

 

また、他人の立場や気持ちを考えられるようになり、コミュニケーション能力や共感力が発達していきます。

 

 

発達段階その4「形式的操作期」

11歳頃の時期は「形式的操作期」と呼ばれ、具体的な事柄に加えて、抽象的な概念について理解できるようになっていきます。知識や経験を踏まえて、頭の中で思考できるようになるのがこの時期です。

仮説や推論といったことができ、科学や哲学の問題について考えることも可能です。

 

 

発達段階に応じた接し方を

子どもは、段階を踏んで徐々に高度な認知能力を身につけていきます。

子どもが今どの段階にあるのかを知っておきましょう。その段階でできること・できないことを理解すれば、子どもの心理や言動を把握しやすくなり、適切なサポートの助けになるはずです。

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