222(コラム)

オンライン授業で問われる大学のあり方……大学はどう変わるか?

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コロナ禍で激変した大学

コロナ禍がビジネスの世界にもたらした変化は大きく、今ではWeb会議や在宅勤務が当たり前になりつつあります。しかし、大学に与えたインパクトは、それと同等かそれ以上といっても過言ではありません。

 

新型コロナウイルスの感染者が急増し、緊急事態宣言が発令された2020年4月以降、約9割もの大学が授業開始の延期に追い込まれ、オンライン授業の準備に奔走しました。※1

 

オンライン授業に関しても開始当初は学生間で戸惑いが広がり、キャンパスに通えないことによる孤独感に苛まれるなど、問題が噴出しました。しかし、現在はオンライン授業が当たり前となり、むしろ利便性やメリットがフォーカスされるようになっています。

 

※1 出典:文部科学省「新型コロナウイルス感染症対策に関する大学等の対応状況について」

https://www.mext.go.jp/content/202000513-mxt_kouhou01-000004520_3.pdf

 

オンライン授業とオンデマンド授業

オンライン授業と一口にいっても、配信方法から2種類に分けられます。

通常「オンライン授業」といった場合は、リアルタイムで授業を配信し、先生と生徒が双方向でコミュニケーションを取れる授業形態のことを指します。

対面授業と同じような臨場感を得られ、表情を見ながら授業を進められるのが特徴です。

 

一方で、授業風景をあらかじめ録画しておき、生徒がいつでも好きな時間に視聴できる配信形態を「オンデマンド授業」と呼びます。

聴き逃した場所やわからない部分を何度も聴き返したり、時間と場所を選ばずに学習したりできるのが特徴です。

 

このように、用途や目的に合わせて「オンライン」と「オンデマンド」を使い分けられるのも、オンライン化の大きなメリットです。

 

 

オンライン化のメリット

オンライン授業・オンデマンド授業のメリットは他にもあります。

1つ目が、通学する必要がなく、時間のロスや地理的制約を受けない点です。

すきま時間を使うなど、自分のペースで学習しやすくなるうえ、海外の大学や著名な研究者の講義を、自宅から簡単に受講できる点も大きなメリットといえます。

 

オンライン授業は生徒側だけでなく、大学側にもメリットがあります。

優れた教材を作りさえすれば、大人数の教員を抱える必要がありません。最低限の人員で経営を行えます。

また、学修データを抽出・分析し、教材の改善につなげることも可能です。

 

 

オンライン化のデメリット

多くのメリットがある一方で、オンライン授業・オンデマンド授業にはデメリットがあるのも事実です。

具体的なデメリットとしては、授業の雰囲気や生徒の反応が捉えにくい、生徒間でコミュニケーションを取りにくい、実習や実技の授業に不向きなどが挙げられます。

通信環境や情報端末によっては、生徒間に格差が生じる可能性もあるでしょう。

 

ただし、オンライン授業で考えられるデメリットの多くは、大容量データ通信網の整備やVR(仮想現実)技術の発展など、テクノロジーの進化で解消できる可能性があるという指摘もあります。

 

 

オンライン化で進む大学間連携

次に、授業のオンライン化が大学にもたらす影響を見ていきましょう。

既に複数の大学が連携し、合同で授業コンテンツを配信したり、プラットフォームを共有したりする動きが見られます。

 

授業というコンテンツをデジタル化すれば、地理的制約を受けることなく、大学間でリソースを共有できます。多くの教員を抱えるのが難しい小規模大学は、大学間の連携によるメリットが大きいはずです。

 

 

大学の壁を越えて学べる時代になる?

海外の大学でも、授業のオンライン化は進んでいます。ハーバード大学やスタンフォード大学などの名門大学では、授業をオンラインコンテンツとして積極的に提供しています。いずれは大学の壁を越えて、好きな大学の授業を選んで学べる時代が来ると予測する人もいるほどです。

 

将来的には、「どこの大学を卒業したか」ではなく、「どんな学習をしてきたか」が価値を生むことになるかもしれません。

 

 

大学の存在意義が問われる

オンライン授業が発展するにつれ、「広大なキャンパスは不要なのでは?」「教員はもっと少なくても良いのでは?」といった、既存の大学のあり方や存在意義を問う議論に発展するのは明白です。

 

もちろん、キャンパス内での交流や人脈作り、対面授業ならではの深い学びなど、既存の大学の形態は必要不可欠なものでしょう。

 

しかし、これからの大学が「キャンパスでしか体験できないこと」や、「自らの存在意義」を強力に発信し、訴求しなければいけない時期に来ているのは間違いなさそうです。

各大学の今後の動向に注目していきましょう。

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