222(コラム)

コロナ禍の大学の「オンライン授業」で噴出する問題と今後の課題

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再開されない大学の対面授業

新型コロナウイルスの影響による学校の休校は解除され、小学校、中学校、高等学校では対面授業が再開されていますが、多くの大学ではいまだオンライン授業が継続され、対面授業は行われていません。

コロナ禍における大学の現状は、どのようになっているのでしょうか。

 

 

コロナの犠牲となったキャンパスライフ

新型コロナウイルスの流行により、ほぼすべての大学において4月からキャンパスが閉鎖され、授業のオンライン化が進められました。今年度に晴れて大学へ入学したものの、いまだに一度も登校したことがない学生も数多くいます。

 

大学生生活を夢見て、受験勉強をがんばってきた学生さんの心境を考えると心苦しい限りです。

新型コロナウイルスの影響により、飲食店をはじめあらゆる業種の企業や事業主が苦しんでいますが、貴重な青春時代を奪われた学生の現状にも目を向けるべきでしょう。

 

 

オンライン授業における問題が噴出

自宅にいながら授業を受けられるオンライン授業は、あらかじめ録音や録画した講義をパソコンで視聴し、自習していくオンデマンド型と、Web会議システムなどを活用した同時双方型に分けられます。一見便利で不自由ないように思えますが、どちらの方法でも問題が噴出しています。

 

オンデマンド型の場合、分からない点があっても講師に気軽に質問できません。メールで質問してもなかなか返信がないという声もあります。「この先生は実際には存在しないのではないか?」という錯覚さえ覚える学生もいるようです。

 

一方の同時双方型は、リアルタイムでの意見交換は行えますが、受講のためにはインターネット環境や機器の整備が必要です。同時アクセス数が多すぎたりインターネット回線が遅かったりすると回線が途切れ、まともに授業を受けられないこともあります。

 

また、課題の多さもオンライン授業の問題点としてあるそうです。オンライン授業で不安を感じているのは生徒側だけではなく、講師も同様です。生徒の実体感が乏しいため、つい多くの課題を出してしまう傾向にあるといいます。

 

このような状況で、生徒達は一日中パソコンの画面を見つめながら課題に追われる毎日が続き、孤独感に苛まれ、精神的に追い込まれている学生も少なくないようです。

 

 

一部の生徒からは肯定的な意見も

オンライン授業に対しては肯定的な生徒もいます。「録画だから何度も見て復習できる」「遠方から大学に通わなくて済む」「キャンパスに行きたくないのでむしろありがたい」といった、オンライン授業を歓迎する声も聞かれます。

 

とはいえ、大学での学びはオンライン授業だけで完結できるものではありません。実習や講義以外でのサークル活動、刺激し合える友達との交流など、対面でしか成立しえないこともたくさんあります。

 

 

保護者からも不満が続出

オンライン授業化で不満を抱えているのは学生だけではありません。保護者からは「実際に講義をしていないのに同じ学費を払うのはおかしい」と、学費の減額を大学側に要求する声が上がっています。

 

また、地方から首都圏の大学に行かせるために、大学近辺に一人暮らし用のアパートを契約したものの、オンライン授業なので実家暮らしを続けている学生も多く、それでもいつ対面授業が再開するか分からないので、アパートを解約することもできない状態だといいます。

 

 

後期より対面授業再開へ

9月段階での文部科学省の調べによると、9月下旬から10月上旬にかけて始まる後期授業では、ほぼすべての大学で対面授業を実施すると回答していました。

ただし、このうち8割の大学ではオンライン授業を併用するとしており、全面的に対面授業を実施する大学は2割程度にとどまっています。

 

冬にかけて新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、再度キャンパス閉鎖が行われる可能性も否定できません。

 

 

大学の今後の課題

数百人近くが同時に受講することもある大教室や混雑しがちな学食など、大学のキャンパスは大規模クラスターが発生しやすい条件が揃っており、新型コロナウイルスの感染リスクが高いと指摘されています。

大学でクラスターが発生したら、世間からの非難は避けられないでしょう。対面授業の再開に際して、万全の感染防止対策が求められます。

 

また、8割の大学がオンライン授業と対面授業を併用したハイブリッド体制を採用する見込みとなっていますが、実際どのように運用していくかは未知数です。対面での講義を行いながら、オンライン授業用の録画もしなければならず、講師への負担は増加するでしょう。

 

大学側には、コロナ対策とハイブリッド体制の整備にかかるコストが重くのしかかります。公的資金の投入など、政府による支援も検討する必要があるのではないでしょうか。

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