異年齢保育(縦割り保育)の狙いは? 同年齢保育とは何が違う?

社会の変化とともに増えつつある異年齢保育
日本の保育施設では、同じ年の子どもを集めて保育を行う同年齢保育(横割り保育)が主流ですが、少子化や核家族化といった社会の変化とともに、「異年齢保育」を実施する施設も増えつつあります。
保護者の中には、我が子を異年齢保育に通わせたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。保育施設を選ぶ際は、異年齢保育の狙いやメリット・デメリットを知っておくことが大切です。
異年齢保育とは
異年齢保育とは、異なる年齢の子どもを同じクラスに集めて、一緒に活動させる保育形態のことです。縦割り保育や混合保育と呼ばれることもあります。
異年齢保育のクラス分けや保育方法は園によって大きく異なり、年齢に関係なくクラスを分ける園や、乳児と幼児のように大まかなクラス分けを行う園、クラスを作らずに園全体で保育を行う園などがあります。
また、普段は年齢別保育を行いながら、おやつの時間や行事などのタイミングで、一時的に異年齢保育を取り入れるケースもあるようです。
異年齢保育の狙い
子どもが多くいた時代は、近所の子どもや兄弟など、年齢の異なる子ども同士で遊ぶ機会が多くあり、その中で社会性や協調性、人を思いやる気持ちなどを学んでいました。
しかし、近年は少子化の影響もあり、年齢の異なる子どもと交流する機会が減りつつあるのが現状です。年齢が異なる子ども同士の関わりを増やし、社会性や協調性、人を思いやる気持ちを育もうというのが、異年齢保育の狙いといえます。
異年齢保育のメリット1:子ども同士がお互いに学び合える
異年齢保育では、自然と年上の子どもは年下の子どもの面倒を見るようになります。年下の子どもをお世話する中で、年上としての自覚や責任感が芽生えるでしょう。
どうすれば年下の子どもに伝わるのか考えたり、相手を気遣ったりする中で、思いやりの心も育まれます。
反対に、年下の子どもは、できることの多い年上の子どもと接する中で、自分もやってみようという向上心を持つことができます。
年齢に限らず、交流の中で子ども同士が学び合える点は、異年齢保育の大きなメリットのひとつです。
異年齢保育のメリット2:友達の幅が広がる
年齢ごとにクラス分けを行う年齢別保育では、どうしても同じ年の友達が多くなります。異年齢保育ならば、年上や年下の友達を作ることもできるでしょう。
友達の幅が広がることは、自分の居場所を増やすことにもつながります。
異年齢保育のメリット3:子どもの成長差が目立ちにくい
小さい頃は、発達段階の差が出やすいものです。例えば、4月生まれと3月生まれは学年こそ一緒ですが、発達段階は大きく異なります。
同年齢の子どもしかいないクラスでは、成長差が目立ちやすく、子どもが劣等感を持つ原因になりかねません。
一方で、異年齢保育ではクラスの年齢の幅が広いため、成長の差が目立ちにくくなります。子どもが劣等感を抱えにくい点も、異年齢保育のメリットです。
異年齢保育のデメリット
年上の子どもと年下の子どもでは、できることが違います。
年下に合わせると年上の子どもが物足りない、年上に合わせると年下の子が参加できないなど、異年齢保育では遊びの種類が制限される可能性があります。
年齢による力関係が原因で、子どもがストレスを感じるケースもあるでしょう。
そのようなトラブルを防ぐために、同年齢の子どもを同じ空間で保育する年齢別保育よりも、保育士の負担が増えてしまう点は、異年齢保育のデメリットといえます。
子どもに適した園を選ぶことが大切
異年齢保育は、異なる年齢の子どもが交流することで、子ども同士が自然に学び合い、成長していくきっかけになるものです。しかし、遊びの種類が制限される、安全性に配慮が必要など、デメリットもいくつかあります。
また、異年齢保育と一口にいっても、園ごとに取り入れ方はさまざまです。子どもを異年齢保育に通わせるか悩んでいる保護者の方は、園の方針や保育内容を確認しておくことをおすすめします。