近年増えつつある「定員割れ」の学校

少子高齢化が進み、子どもの数が少なくなりつつある中で、学校も生徒の確保に苦慮しているのが現状です。高校や大学でも、募集人数を確保できない「定員割れ」を起こしている学校が多く見られます。

 

受験者の視点から見ると「定員割れなら絶対に合格できる!」と思いそうですが、実際のところはどうなのでしょうか。

 

「定員割れ」とは?

受験でよく聞く「定員割れ」とは、学校の募集する定員数に対して受験者数が少ない状態のことを指します。

例えば、入学者を200人募集している学校に100人しか受験者が集まらなかった時は、定員割れを起こしていることになります。

 

定員割れを起こしているかは、学校が発表している「出願倍率」から確認が可能です。出願倍率が1.0を切っている学校は、定員割れということになります。

出願倍率は「出願者数÷募集定員」の式で算出可能です。前述の例で計算すると100÷200で、出願倍率は0.5倍となることからも、定員割れを起こしていることがわかります。

 

 

定員割れでも必ず合格できるとは限らない

定員割れが起きている学校は、希望よりも受験者数が少ない状態です。一見すると「受験をすれば誰でも受かるのでは?」と思ってしまうかもしれません。

 

結論からいうと、定員割れを起こしているからといって、絶対に合格できるとは限らず、不合格になるケースもあります。

これは、入学試験に合格基準点(足切り点)を設定しているためです。合格基準点を設けている学校の場合、その点数を越えなければ定員割れでも不合格となります。

 

各教科・科目ごとに基準点が設けられているケースだと、全科目の合計は合格基準点を上回っていても、1教科基準点を下回ったために不合格になる可能性もあります。

大学になると、特定の科目が一定の点数を下回っていると、他の科目を採点せずに不合格とすることもあるようです。

 

 

過去の結果から定員割れを予測できることも

受験する学校で定員割れが起きるかは、これまでの入試結果から予測できる可能性があります。

 

例えば、合格者に対してどれくらいの受験者がいたのかを示す「実質倍率」は、定員割れをするかどうかの判断材料に使えます。実質倍率は「受験者数÷合格者数」で求めることが可能です。

実質倍率が1.0を超えているのに定員割れが発生している場合は、誰かが不合格になったということがわかります。

 

ただし、受験に合格した人が、全員その学校に進学するわけではありません。他の学校に入学する合格者もいるため、学校側は合格者を多めに出して入学者を多めに確保することが多いです。

 

二次募集や欠員補充を行うことが多い学校の場合も、一次募集では入学者数が足りなかったと考えられるため、定員割れが起こる可能性があります。

 

 

定員割れでも勉強することが大切

定員割れを起こしている学校の場合、試験の基準点さえクリアできれば必ず合格します。他の受験生と点数を比較されることがないため、受験者数が多い人気校に比べると、合格しやすいといえるかもしれません。

 

ただし、出願倍率は年によって変動します。定員割れが起きるかどうかは、試験後にならないとわからないという点を意識しておきましょう。

 

また、定員割れを起こしているからといって、基準点を下回ってしまえば不合格になってしまう点にも注意が必要です。いずれにせよ、志望校に合格するためには学力が欠かせません。

 

定員割れや入試の倍率を気にしすぎるのではなく、自分自身が行きたいと思う学校を受験することが大切です。定員割れする可能性が高いと思えても、受験や入学後のことを踏まえて、しっかりと勉強を続けましょう。