222(コラム)

全大学を対象に受験者募集から合格発表まで、大学入学者選抜の共通ルールを策定へ

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順番飛ばしや性別による差別を禁止。合否判定の透明性も求める

 

文部科学省の大学入学者選抜の公正確保等に関する有識者会議は、このほど「大学入学者選抜の公正確保等に向けた方策について」の審議経過報告を公表しました。

 

東京医科大学の入学者選抜において、特定の受験者の優遇や女子受験生などに対する不適切な扱いが表面化し、文科省が大学医学部を緊急調査したところ、合計10大学でも不適切な入試選抜の慣行が発覚したことを受けたもの。有識者会議はこの審議経過報告を元に最終報告にとりまとめ、文科省はその検討結果を踏まえ大学入学者選抜実施要項を改訂し、全大学の入試事務担当者に通知する見通しです。

 

審議経過報告書では、入試選抜の公正確保に向けた方策として、学生募集から合否判定に至るプロセスで下記のような共通ルールを打ち出しています。かなり厳格にルール化された部分が少なくありませんから一度目を通してください。

 

例えば学生募集では、「性別による一律の取扱いの差異は、説明困難」として、女子大や建学の精神から男女別に募集している大学を除いて性別による差別を禁止。出願手続きでは「評価・判定に用いない情報(保護者の氏名・職業・出身校等)は、入学志願者に求めない」としています。

 

また、個別学力調査では「採点時に、受験者情報をマスキングし、複数人での採点・確認」することや「試験問題と解答等の公表と希望する受験者本人への成績開示」することも盛り込まれています。

 

さらに合否判定では、「合否判定に用いる要素、それらの配点や比重等について、可能な限り公表」することを求める一方、「恣意的な特定の受験者の優遇や『順番飛ばし』を禁止」しました。さらに「合否判定の根拠を明確化」「補欠合格候補者の内での順番等を予め開示」など、合否の判断の透明性を確保することも求めています。

 

 

公正確保等に向けて方策 ~大学入学者選抜のプロセス全体を通じた公正確保~

 

学生募集

  • アドミッション・ポリシーまたは募集要項において、入試方法・合否判定基準等について可能な限り明示。●特定の属性に係る特別枠の設定を行う場合には、その内容、導入理由、募集人員、出願要件等について情報提供に努め、広く社会の理解と支持を得られるよう説明責任を果たすことが必要。●性別による一律の取扱いの差異は、説明困難。同窓生子女についての特別枠は、より丁寧な説明が必要。

 

出願手続き

  • 評価・判定に用いない情報(保護者の氏名・職業・出身校等)は、入学志願者に求めない。●保護者や関係者からの特定受験者の優遇を求める働きかけや寄附の申出等には、大学として毅然と対応。

 

個別学力調査

  • 試験問題の漏洩防止は基本。受験者に関係者・親族がいる教職員は試験問題の作成・点検に関与しない等の取扱いは当然に実施。●採点時に、受験者情報をマスキングし、複数人での採点・確認するなどの方策を組み合わせることが重要。●試験問題と解答等の公表と希望する受験者本人への成績開示により、疑念を解消。

 

小論文、面接、実技試験

  • 評価・判定のばらつきの抑制、特定の受験生の優遇や属性による差別的取扱いの防止のため、実施方法や評価方法についてのマニュアル化が必要。

 

合否判定

  • 合否判定は教授会や入試委員会等の合議制の会議体で行うこととし、特定個人の恣意的な判断を防止。●評価・判定に用いない情報(受験者氏名、性別、年齢、保護者情報等)は、合否判定資料には記載しない。●合否判定基準として、合否判定に用いる要素、それらの配点や比重等について、可能な限り公表。●恣意的な特定の受験者の優遇や「順番飛ばし」の禁止。属性を理由とする一律の差別的取扱いの禁止。

 

合格発表、繰り上げ合格、成績開示等

●学力検査やそれ以外の点数化する要素について配点・取扱い等を明示し、合否判定の根拠を明確化。●補欠合格候補者の内での順番等を予め開示することにより、透明性を確保。

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