222(コラム)

『説話集』には、昔の人々の教訓がつまっている!

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古文の主要ジャンルのひとつ『説話集』私たちが中学校・高校で古文を学習する時には、『説話集』『随筆』『物語』『紀行文』といったさまざまなジャンルの原典をもとに学んでいきます。今回は、その中で説話集を取り上げてみたいと思います。説話集には、多数の「説話」とよばれる民話や昔話が収録されています。説話とは、昔の人々が残した言い伝えや伝承などをもとに、教訓や仏教の教義などを説くものです。1つの説話では1つまたは2つ以上のエピソードが語られます。その中に含まれる失敗談や成功談をもとに、読者に対して「こんなふるまいをしてはいけないよ」「こうすればうまくいくよ」といった教示を与えてくれるのが説話の役割です。  有名な説話『ちごのあめ食ひたること』教科書や問題集にも載る有名な説話のひとつに、『ちごのあめ食ひたること』というものがあります。ある山寺に、けちな坊主がいました。水あめを作ったのですが、けちなので誰にも分けず、秘蔵の水びんに入れ、一人で食べていました。その寺にはちご(子どもの修行僧)がいたのですが、ちごに対しては水あめのことを「これは食べたら死ぬものだから、食べてはいけないよ」と伝え、食べられないようにしていました。しかし、食べてはいけないと言われると食べたくなるのが人間というもの。ちごは坊主の留守中にこっそり水あめを食べてしまいます。そして、食べるだけでなく、服や髪の毛にもあめをべっとりつけた上、さらに坊主秘蔵の水びんまで、庭の石にぶつけて割り、破片をそのまま放置しておきました。そして、坊主が帰ってくると、ちごは泣いています。「なぜ泣いているのか」と坊主にたずねられたちごは、「大事な水びんを落として割ってしまいました。どんな罰を受けるかと考えるともう死んでしまいたいと思い、食べたら死ぬという水あめを食べましたが、何杯たべても死にません。服や髪の毛にもつけてみましたが、まだ死ねません。」と答えたのです。けちな坊主は、ちごの機転のきいたやり方にしてやられ、水あめも水びんもなくしてしまった、というわけです。けちはいけない、と読者に伝えている話ですが、それにしてもこのちごはなかなかの策略家ですね。  説話に出会ったときはここに注意!説話集は平安時代に生まれ、主に鎌倉時代にさかんに書かれました。主な作品には『今昔物語集』『宇治拾遺物語』『古今著聞集』、そして上の水あめの話が収録されている『沙石集』などがあります。古文の問題でこうした『○○集』といったタイトルを見かけたら、「あ、説話集だ!」と考えればいいのです。読む際は、エピソードの内容を理解するのももちろん重要ですが、主人公はどうして失敗/成功したのか、話のおもしろさはどこにあるか、といった点も問われるので注意が必要です。また、高校生になると説話集の成立年代や書かれた年代の順番が問われることもあるので、調べておくとよいでしょう。

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